ムーブメント

時計のムーブメント(キャリバーとも呼ぶ)は少し独特の世界です。ムーブメントは車でいう「エンジン」にあたりますが、マニュファクチュールと呼ばれる一部のブランドを除き外部から汎用品の供給を受けています。稀に「自社製」のような言い方をしているブランドでも大抵ベースのムーブメントはどこかしらから供給を受けたものをチューニングしています。車でいうとエンジンはトヨタから買ってきて、シャシーやボディなどの設計を行っているイメージです。車の世界でもロータスがトヨタのエンジンを搭載したりしていますね。

ここで扱っているような価格帯のマイクロブランドの時計ですと

SEIKO(NH)系 

CITIZEN(MIYOTA)系 

SELLITA(SW)系 

SOPROD

あたりの汎用ムーブメントがほとんどとなります(最近ETAはグループ外供給を絞っているのであまり見ません)。ローターにメーカー刻印を入れる程度で独自の改良・改造をしているケースは少ない(ポン乗せ)です。実はこれが将来的なメンテナンスにはメリットとなりまして、汎用であるが故に独自性はないもののオーバーホールなどはどこでも実施できるのです。

もちろん装飾パーツなどに不具合がある場合は部品入手困難なケースもあるかと思いますが、ムーブメントの不調・不具合などは大抵の時計工房や時計店で修理可能です。

私は専門家ではないので適当な知識がベースですが、よく使われるムーブメントに絞って簡単に紹介します。大体以下の4つのムーブメントで9割以上の機械式マイクロブランドウォッチはカバーできるかと。なおクォーツはRONDAやスイープ運針のセイコーのVHなどもありますが、好みではないので割愛しています。(クォーツ買うならいっそアストロンのソーラー・電波の方がいいです・・・)

【SEIKO系】

以前はSII(セイコーインスツル)製だったと思うのですが、現在は香港のTMIという子会社に移管されているようです。NH3xシリーズが中心です。基本的にSEIKOの4Rxxと同じです。xの部分は「デイト有無」「GMT有無」などで変わります。SEIKO 5スポーツなど5万円前後の時計に搭載されているものと同じと思ってください。

NH3xの仕様: 21,600vph(6振動)/41時間/日差+45秒~-35秒/厚さ5.32mm/ハック

【CITIZEN系】

大きくMIYOTA8xxxと9xxxの二種類があります。xの部分はSEIKO同様です。シチズン製の時計ですと8xxxは3-5万円前後、9xxxは7万円以上のものに載っていることが多いです。

8xxxの仕様: 21600vph(6振動)/42時間/日差+40秒~-20秒/厚さ5.67mm/ハック
9xxxの仕様: 28800vph(8振動)/42時間/日差+30秒~-10秒/厚さ3.9mm/ハック

【SELLITA系】

セリタと読みます。セリタに関する紹介はWikipediaを参考にしてください。スイスにあるムーブメントメーカーでいわゆる高級ブランドの時計もセリタのムーブメントを多数使っています。マイクロブランドで搭載されるのはSW2xxがほとんどで稀に3xx(薄型)があります。

SW2xxの仕様: 28800vph(8振動)/38時間/日差+30秒~-30秒*/厚さ4.6mm/ハック
*なおセリタについては同じ型番でもグレードがあり日差などの精度が異なる。上記は標準品

【SOPROD系】

ソプロードと読みます。採用はあまり多くありませんが、Nivada Grenchen・Balticなどの一部のモデルで採用されています。私もあまり詳しくは知りませんが、こちらもセリタ同様に元々はETAの組み立てメーカーだったようです。スペック的にはSellita SW200などと同様のETA2824の互換っぽいですね。構造的にOHなどは問題ないと思いますが、パーツなどの互換性はよくわからないので町の時計屋でどこまで修理可能かは不明です。

P024の仕様:28800vph(8振動)/38時間/日差+不明/厚さ4.6mm/ハック

個人的には何となく舶来信仰を脱却できていないこともありまして、セリタが買えるモデルを中心に選んでしまいがちです。それに精度・薄さなどを考慮すると脳内ではこんな順位付けになっています(異論は認める)

SELLITA>Miyota 9xxx系>SEIKO NH3x系 >Miyota 8xxx系


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